
健康的な生活を実現するため、塩分の摂取量や効果的な減塩方法について悩む人は多くいます。この記事では、1日の塩分摂取量の目標値や過剰摂取の健康リスク、効果的な食事法などを解説します。記事を読めば、あなたの生活に合った塩分管理の方法が見つかり、健康的な食生活の実現が可能です。
1日の塩分摂取量の目標値

1日の塩分摂取量の目標値は、健康維持のための重要な指標です。1日の塩分摂取量の目標値について以下を解説します。
- 健康な成人の目標値
- 持病がある場合の目標値
適切な摂取量は、年齢や性別、健康状態によって異なります。塩分の過剰摂取は高血圧や心臓病などのリスクを高めるため、適切な摂取量を守りましょう。
健康な成人の目標値
健康な成人の1日の塩分摂取量の目標値は、男性が7.5g未満、女性が6.5g未満です。塩分摂取量の目標値は、健康維持と生活習慣病予防のために、厚生労働省が定めた基準です。世界保健機関(WHO)はさらに厳しい基準を設けており、5g未満/日を推奨しています。
年齢や性別に関わらず、できるだけ減塩を心がけると健康的な食生活につながります。1日2g以上の減塩で血圧抑制効果が期待できるため、少しずつでも塩分摂取量を減らす努力をしましょう。気になる点は医師に相談し、健康状態や生活習慣に応じて調整してください。
持病がある場合の目標値
持病がある場合は、健康状態に応じて塩分摂取量の目標値が異なります。それぞれの目標値は、以下のとおりです。
- 高血圧患者:6g未満/日
- 慢性腎臓病患者:6g未満/日
- 心不全患者:6g未満/日
- 脳卒中患者:6g未満/日
- 妊娠高血圧症候群患者:6g未満/日
- 糖尿病患者:7g未満/日
- 肝硬変患者:7~8g/日
- 骨粗しょう症患者:8g未満/日
目標値は、各疾患の特性や塩分が与える影響を考慮して設定されています。医師や栄養士と相談し、自分に適した塩分摂取量を守りましょう。減塩を心がけると徐々に味覚が変化し、薄味でもおいしく感じられます。
日本人の1日の塩分摂取量

日本人の1日の塩分摂取量には、男女差や年齢差、地域差があります。日本人の1日の塩分摂取量について、以下を解説します。
- 平均的な塩分摂取量
- 地域別の塩分摂取量
健康意識の高まりで摂取量は減少傾向にありますが、国際的にはまだ高水準です。健康維持のためには、塩分摂取量を意識的に減らす取り組みが必要です。

真夏は汗による塩分損失を補う必要がありますが、WHOが推奨する1日5g未満を大きく超えないよう、全体の摂取量を管理することが重要です。塩分だけでなく、カリウムやマグネシウムなどの電解質も含む飲料を摂ることが効果的です。適切な電解質の補給を心がけ、健康リスクを避けるようにしましょう。
平均的な塩分摂取量
日本人の平均的な塩分摂取量は1日約10gで、世界保健機関(WHO)の推奨量5g/日を大幅に超えています。男性の平均摂取量は約11g、女性は約9gです。年齢が上がるにつれて摂取量が増加する傾向があります。
厚生労働省が定めた目標値(男性7.5g未満、女性6.5g未満)と比較しても、現状の摂取量は高すぎる状況です。
地域別の塩分摂取量
地域の食文化や気候は、塩分摂取量に大きな影響を与えています。東北地方が最も高く、1日あたり約11~12gの塩分を摂取しています。最も低いのは沖縄県で、1日あたり約8~9gです。北海道や東北地方は、寒冷な気候や塩蔵食品の消費の多さから、塩分摂取量が多くなっています。
寒冷地域では、保存食として塩分の多い食品が好まれます。西日本は、東日本に比べて全体的に摂取量が少ない傾向です。都市部では外食や加工食品の利用が多く、家庭での調理機会が少ないため、塩分摂取量が多くなっています。住む地域の特徴を踏まえて、適切な塩分摂取量を意識しましょう。
塩分過剰摂取の健康リスク

塩分の過剰摂取が及ぼす健康リスクは、以下のとおりです。
- 高血圧の原因になる
- 心疾患や脳卒中のリスクが高まる
- 腎機能低下の原因になる

塩分摂取の欲求は次の3つの要因から引き起こされ、それにより弊害をもたらします。
1. 味覚の慣れ
塩分が多い食事に慣れると、舌がその強い塩味を基準として感じ、通常の塩分量の料理では物足りなさを感じるようになります。
2. 快感をもたらす要素
塩味は食材の旨味を引き出すため、満足感や食べる楽しさを増します。この満足感が「もっと食べたい」という欲求を引き起こし食べ過ぎの原因にもなります。
3. 生理的な要因
体がナトリウムを必要とするときに塩味を欲することがあります。ただし、これは体が塩分不足である場合に限ります。塩分だけでなく、カリウムやマグネシウムなどの電解質も含む飲料を摂り、必要以上に塩分摂取をしないようにしましょう。
高血圧の原因になる
高血圧の原因の1つが、塩分の過剰摂取です。塩分を摂りすぎると、ナトリウム濃度を調整する体の仕組みが働き、体内の水分量が増加します。血液量が増えて血圧が上昇すると、血管への負担が大きくなり、高血圧の状態が続きます。血管壁の硬化が促進され、交感神経系が活性化するのも特徴です。
血管内皮機能の低下やレニン-アンジオテンシン系の活性化なども、高血圧につながります。高血圧は自覚症状がほとんどなく、気付かないうちに進行します。早期発見のためには、定期的な血圧測定と適切な塩分管理が重要です。
心疾患や脳卒中のリスクが高まる
高血圧が続くと、心臓や血管に大きな負担がかかり、心疾患や脳卒中のリスクが高まります。心疾患や脳卒中は、動脈硬化の進行や血管の損傷が原因です。血管壁への負担が増えると、血管が傷つきやすくなります。心臓に過度な負担がかかれば、心肥大や心不全の危険性が上がります。
脳血管が破れやすくなると脳卒中のリスクが高まるため、注意が必要です。冠動脈疾患や狭心症などの心臓病のリスクも増加します。血栓ができやすくなれば、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも上昇します。血管の弾力性の低下により、循環器系の障害のリスクも高まるため注意しましょう。
腎機能低下の原因になる
塩分の過剰摂取は、腎機能の低下につながります。塩分の摂りすぎが腎機能に悪影響を与える理由は、以下のとおりです。
- 高血圧による負担増加
- ろ過機能の低下
- 血管の硬化
- 炎症の促進
過剰な塩分摂取が続くと、腎臓に直接的なダメージを与え、むくみの悪化や腎臓結石のリスク増加につながります。尿中カルシウム排出量が増加し、腎臓の線維化が進行します。腎臓は、体内の老廃物を排出する重要な役割を担っているため、機能の低下は大きな問題です。腎臓への悪影響が重なると、慢性腎臓病の進行を招きます。
塩分を多く含む加工食品と外食メニュー

加工食品と外食メニューには予想以上に塩分が含まれているため、注意が必要です。頻繁に摂取すると、知らないうちに塩分の摂りすぎにつながります。塩分の多い食品を把握し、摂取量を意識的に調整しましょう。
加工食品
塩分を多く含む加工食品は、以下のとおりです。
- インスタントラーメン
- カップスープ
- レトルトカレー
- ハム
- ソーセージ
- 漬物
加工食品は便利で手軽に食べられるため、つい摂りすぎてしまいます。加工食品を選ぶ際は、パッケージの栄養成分表示を確認し、塩分量の少ないものを選びましょう。加工食品に頼りすぎず、新鮮な野菜や果物、魚などの自然食品を中心とした食生活を心がけてください。
外食メニュー
外食メニューは調理過程で多くの塩分が加えられているため、注意が必要です。塩分が多い外食メニューは、以下のとおりです。
- ラーメン
- 丼物
- ハンバーガー
- ピザ
- フライドポテト
- ギョーザ
- 唐揚げ
- カレーライス
- 中華料理
- 焼き鳥(タレ)
外食を完全に避けるのは現実的ではないため、メニューの選び方や食べ方を工夫しましょう。うどんやそばはつゆを残し、寿司はしょうゆを控えめにすると効果的です。サラダはドレッシングの量に注意し、スープは具だけを食べると塩分を抑えられます。
1日の塩分摂取量を管理する方法

1日の塩分摂取量を管理する方法は、以下のとおりです。
- 塩分を計測する
- 食品のラベルを見る
- 食事内容を記録する
適切な管理方法を知り、日々実践すると塩分の過剰摂取を防げます。
塩分を計測する
塩分を計測すると、正確な塩分摂取量の把握が可能です。家庭用の塩分計を使えば、調理した料理の塩分濃度を簡単に測定できます。汁物の塩分を測る際は、塩分濃度計が便利です。調味料を使う際は計量スプーンを活用しましょう。大さじ1杯のしょうゆには約2.5gの塩分が含まれています。
食品成分表やスマートフォンアプリを使えば、食材や料理の塩分含有量を確認できます。ツールを上手に活用すると、塩分摂取量の効果的な管理が可能です。
食品のラベルを見る
食品のラベルを見て栄養成分表示を確認すると、食品に含まれる塩分量を把握できます。1食分あたりの塩分量や100gあたりの塩分量を確認しましょう。原材料表示で塩分を含む成分を確認するのも効果的です。「減塩」や「低塩」の表示がある商品は、通常の商品と比べて塩分が少ない傾向にあります。
複数の商品の塩分量を比較し、より塩分の少ない商品を選びましょう。同じ種類の食品でも、ブランドによって塩分量が異なります。調味料は少量でも塩分を多く含むため、使用量に注意が必要です。外食の際は、メニューの栄養成分表示を確認しましょう。
飲食店では栄養成分表示が義務付けられているため、塩分量を確認してから注文できます。栄養成分表示を見る習慣を付けると、日々の塩分摂取量の正確な把握が可能です。
食事内容を記録する
食事内容を記録すると、自分の食生活を客観的に把握できます。食事の写真を撮影し、手帳やノートに記録を残しましょう。スマートフォンアプリやオンラインサービスの活用もおすすめです。外食時のメニューや調味料の使用量も忘れずに記録しましょう。毎日の塩分摂取量を計算し、グラフ化して傾向を把握すると効果的です。
食事記録を定期的に振り返り、改善点を見つけましょう。食事記録と体調の変化を関連付けて分析すると、自分の体に合った塩分摂取量を把握できます。家族や友人と記録を共有し、サポートし合うのも効果的です。医療専門家に食事記録を見せてアドバイスを受ければ、より適切な塩分管理ができます。
1日の塩分摂取量を減らすポイント

1日の塩分摂取量を減らすポイントは、以下のとおりです。
- 薄味の食事を心がける
- 減塩調味料を使用する
- だしや香辛料を活用する
- 加工食品や外食を減らす
毎日の食事を少しずつ工夫し、無理なく塩分摂取量を減らしましょう。
薄味の食事を心がける
薄味の食事を心がけると、1日の塩分摂取量を効果的に減らせます。野菜や果物の甘みを生かし、食材本来の味を楽しみましょう。酢やかんきつ類の酸味を活用するのも効果的です。調味料は計量して使用し、徐々に薄味に慣れましょう。調理法を工夫して素材の味を引き出すと、塩分に頼らなくてもおいしい料理を作れます。
塩分の強い食材は量を控えめにするのもポイントです。家族みんなで意識して取り組めば、効果的に塩分摂取量を減らせます。

酢や柑橘類を使うとなぜ薄味でも満足するのか。酸味は食材の味を引き締め、旨味や香りを引き立てます。唾液の分泌もうながし、食べ物の成分を溶かして味蕾(みらい)(舌の味を感じる部分)に届けることで、味をしっかり感じられるようになるのです。
減塩調味料を使用する
減塩調味料を使用すると、塩分を抑えつつ料理のおいしさを保てます。減塩調味料は、塩の一部をカリウムやマグネシウムで代替した製品です。塩分〇%カットの表示がある調味料を探しましょう。減塩しょうゆは刺身や冷ややっこなどの生食に、減塩みそは煮物やみそ汁に使用すると効果的です。
通常の調味料と併用し、徐々に慣れていきましょう。最初は通常の調味料と減塩調味料を半々で使い、少しずつ減塩調味料の割合を増やすのがおすすめです。減塩調味料を選ぶ際は、栄養成分表示をよく確認してください。塩分量だけでなく、カリウムやマグネシウムの含有量も確認しましょう。
料理の下味に減塩調味料を使うと、より効果的に塩分を減らせます。減塩調味料と香辛料を組み合わせて、味に変化をつけるのもおすすめです。
だしや香辛料を活用する

だしや香辛料を活用すれば、健康的でおいしい食事を楽しめます。香辛料やハーブ、香味野菜を使用すると、食事に風味が加わります。食材を上手に使い、減塩しつつ味わい深い料理を作りましょう。酢やしょうゆで味に深みを出したり、ごまやナッツ類でコクを出したりするのも効果的です。
みそやしょうゆは塩分が多いため、薄めて使用しましょう。香ばしさを出すために、ごま油を使用するのもおすすめです。魚や肉に下味をつけて調理すると、減塩しながらおいしく食べられます。
加工食品や外食を減らす
加工食品や外食を減らすと、塩分摂取量を効果的に調整できます。自炊をする機会を増やし、使用する食材や調味料をコントロールしましょう。新鮮な食材で素材本来の味を引き出すと、塩分に頼らずにおいしい料理を作れます。加工食品を使用する場合は、減塩タイプを選びましょう。
加工食品の代わりに手作りのおかずを選べば、添加物や過剰な塩分を避けられます。冷凍食品やインスタント食品の使用は控え、生鮮食品を選択しましょう。弁当を持参し、外食を減らすのもおすすめです。外食の際は栄養成分表示を確認し、塩分控えめのメニューを選択してください。
まとめ

健康維持のためには、塩分摂取量の管理が欠かせません。自分に合った目標値を把握し、日々の食事で意識しましょう。日本人の平均塩分摂取量は目標値を上回っているため、塩分を意識的に減らす取り組みが必要です。塩分の摂りすぎは、高血圧や心臓病などの健康問題につながります。
加工食品や外食は塩分が多く含まれているため、注意が必要です。塩分の計測や食品表示の確認を習慣化し、自分の塩分摂取量を把握しましょう。だしや香辛料を活用すると、塩分が少なくてもおいしい食事を楽しめます。少しずつでも塩分を減らす工夫を続けると、健康的な食生活を実現できます。
» 食生活の重要性と年齢別の改善方法を解説