玄米の炊き方完全ガイド|炊飯器・土鍋・圧力鍋でふっくら仕上げるコツ

玄米の炊き方完全ガイド|炊飯器・土鍋・圧力鍋でふっくら仕上げるコツ

健康のために玄米を取り入れたいけれど「炊き方が難しそう」と感じる人は多いかもしれません。自己流で玄米を炊いてみたら芯が残ってしまい、おいしく食べられなかったという声もよく聞かれます。

玄米は白米と同じように炊くと失敗しやすいため、毎日の食事に取り入れることを諦めてしまう人が多くいます。しかし、忙しい毎日でも手軽に栄養バランスを整えたい人にとって、玄米は強い味方です。

この記事では玄米の基本的な炊き方や調理器具ごとのコツ、よくある失敗と対策に加え、玄米を使ったアレンジレシピも紹介します。記事を読めば、初心者でもふっくらとおいしい玄米を炊けるようになります。

玄米をおいしく炊くコツは正しい手順と水加減を押さえることです。玄米を取り入れて毎日の食事をより健康的にしましょう。

玄米の基本的な炊き方

玄米は白米と異なり硬いぬかに覆われているため、炊き方に工夫が必要です。正しい手順で玄米を炊くことで、ふっくらとしたおいしい玄米ごはんが炊けます。玄米の基本的な炊き方の手順は以下のとおりです。

  1. 玄米を計量する
  2. 玄米をとぐ
  3. 浸水する
  4. 水を投入する
  5. 炊飯する

玄米を計量する

おいしい玄米の炊き方の第一歩は、正確に計量することです。玄米と水のバランスが炊き上がりの食感を大きく左右するため、毎回きちんと測ることで安定しておいしい玄米を炊けます。

玄米の計量には炊飯器に付属しているカップを使うことが基本です。より正確に玄米を測りたい場合はキッチンスケールを使いましょう。食べる量に合わせて、以下を目安に玄米を計量してください。

  • 玄米1合:計量カップ(180ml)1杯分=約150g
  • 炊き上がりの目安:1合で大人のお茶碗約2杯分(約330g)

少量だけ試したいときは、0.5合から玄米を炊いてみることもおすすめです。

玄米をとぐ

玄米はとぐことでホコリや汚れを洗い流せるだけでなく、表面に小さな傷がついて水を吸いやすくなります。ただし、ゴシゴシと力を入れてとぐと、玄米が割れて食感が悪くなるため注意しましょう。

まずはボウルに玄米と水を入れ、軽くかき混ぜたらすぐに水を捨てます。糠(ぬか)の臭みが玄米に移らないようにするための大切な工程です。水を少量加えるか水気を切ったあとは両手で玄米をすくい、拝むように優しくこすり合わせます。水を加えてすすぎ、捨てる工程を2〜3回繰り返します。

玄米は水が透明になるまでとぐ必要はなく、少し濁っている程度で十分です。玄米を丁寧にとぐことでふっくらとした炊き方ができます。

浸水する

浸水は玄米をふっくら柔らかく炊き上げるための重要な工程です。玄米は硬いぬかに覆われているため、白米より吸水に時間がかかります。じっくり浸すことで玄米の芯まで水分が行き渡り、格段においしい炊き方ができます。

玄米は最低でも6時間以上は浸水させることが必要です。夏場は6~8時間、冬場は8~12時間(一晩程度)と季節に合わせて浸水時間を調整すると玄米をおいしく炊けます。気温が高い夏場は水が傷みやすいため冷蔵庫で玄米を浸水するか、こまめに水を替えると安心です。

玄米の浸水に使った水は炊飯前に一度捨てて新しい水で炊きましょう。新しい水で炊くことで玄米特有のぬか臭さが取れてすっきりとした味わいになります。

水を投入する

玄米を炊くときの水の量を適切に調整すると、ふっくらと炊き上がります。玄米1合に対して水1.5〜2倍が目安です。炊飯器を使う場合は内釜の玄米用目盛りに合わせると簡単に水の量を調整できます。

お米の状態や好みの食感に合わせて水の量を調整すると、玄米をさらにおいしく炊くことが可能です。新米は水分を多く含んでいるため水をやや少なめに、古米は乾燥しているため多めにすると炊きムラが減ります。柔らかめの食感が好きな人は水を多めに、硬めが好きな人は少なめにして、炊き方を調整しましょう。

ひとつまみの塩を加えると玄米の甘みが引き立ち、水の吸収も良くなります。

炊飯する

玄米を炊くときは炊飯器のモード設定や炊き上がり後の扱い方を工夫することで、一層おいしく仕上がります。玄米をおいしく炊き上げるためのポイントは以下のとおりです。

  • 玄米モードがあれば使用し、ない場合は炊き込みモードを選ぶ
  • 炊飯前に塩をひとつまみ加えると玄米の甘みが引き立ち、ぬか臭さがやわらぐ
  • 炊飯後は10〜15分ほど蓋を開けずに蒸らすと、水分が全体にいきわたりふっくら仕上がる
  • 蒸らしが終わったら、釜の底からしゃもじで優しく混ぜ、水分を飛ばして炊きムラを防ぐ

少しの工夫で、家庭でも手軽においしい玄米ご飯の炊き方ができます。

【調理器具別】玄米の炊き方のポイント

玄米は調理器具によって炊き上がりの食感や炊き方のコツが異なります。以下の調理器具別に、玄米の炊き方のポイントを紹介します。

  • 炊飯器で炊く場合
  • 土鍋で炊く場合
  • 圧力鍋で炊く場合

炊飯器で炊く場合

多くの炊飯器には「玄米モード」があり、誰でも手軽においしい玄米を炊くことが可能です。内釜の「玄米」の目盛りに合わせて水を入れ、スイッチを押すだけで玄米は最適な炊き上がりになります。玄米モードがない場合でも以下の炊き方のポイントを押さえれば、白米モードで玄米をおいしく炊けます。

  • 浸水時間は6時間以上を目安にする
  • 水は玄米1合に対して約1.5倍加える
  • 塩をひとつまみ入れる

玄米が炊き上がった後は10〜15分ほど蓋を閉じたまま蒸らします。蒸らし終わったら釜の底からしゃもじで優しく混ぜて余分な水分を飛ばすと、べたつかずふっくらとした炊き方ができます。

土鍋で炊く場合

土鍋で玄米を炊くとお米本来の甘みが引き出され、本格的な味わいに仕上がります。玄米の香ばしいおこげを楽しめる点も土鍋の魅力です。土鍋はゆっくりと熱が伝わり、一度温まると冷めにくい点が特徴です。土鍋の高い保温性によって玄米の芯までじっくり火が通り、一粒一粒がふっくら炊き上がります。

玄米を土鍋で炊くときは以下の火加減を守ることがおいしい炊き方の基本です。

  • 中火で沸騰させる
  • 弱火で20〜25分炊く
  • 火を止めて15分蒸らす

玄米を土鍋で炊いている間は吹きこぼれに注意し、途中で蓋を開けないようにしましょう。火を止める直前に少し強火にすると、玄米の香ばしいおこげができ上がります。蒸らし終わったら玄米を底からさっくり混ぜ、余分な水分を飛ばすとよりおいしく仕上がります。

圧力鍋で炊く場合

圧力鍋を使うと玄米を短時間でもっちりとした食感に炊き上げられます。高い圧力で一気に加熱するため玄米特有のパサつきがなくなり、ふっくらと仕上がる点が圧力鍋の魅力です。圧力鍋なら浸水時間が短くても玄米をおいしく炊けるため、忙しい日にも向いています。

圧力鍋を使用する際は水の量を玄米の1.2〜1.3倍程度にします。やや少なめの水にすることが玄米のおいしい炊き方のコツです。

火加減は最初に強火にかけ、圧力がかかっておもりが動いたら弱火にし、15〜25分ほど加熱を続けます。火を止めたあとは圧力が自然に下がるまで10〜15分蒸らすと、よりふっくらした玄米ごはんに仕上がります。

玄米の炊き方でよくある失敗と対策

玄米は白米と違って硬い皮に覆われているため、水加減や火加減で炊き上がりが変わります。玄米を炊くときに起こりやすい以下の失敗について説明します。

  • 芯が残る
  • 炊きムラがある
  • べちゃっとしてしまう

芯が残る

玄米を炊いたときに芯が残るのは十分に水を吸えていないことが原因です。玄米は硬いぬかや胚芽に覆われているため、白米より吸水しにくい特徴があります。芯を残さない玄米の炊き方のポイントは以下のとおりです。

  • 浸水時間は6時間以上、できれば一晩
  • 水加減は玄米1合に対して水1.5〜2倍
  • 炊飯モードは必ず「玄米モード」を使用
  • 蒸らし時間は炊き上がり後10〜15分

玄米は浸水・水加減・炊飯モード・蒸らしを守ることで、芯が残らずふっくらと炊き上がります。

炊きムラがある

玄米が場所によって硬かったり柔らかかったりする炊きムラは、水分や熱が均等に伝わっていないことが原因です。炊飯器に玄米と水を入れたら釜を軽く揺すって表面を平らにし、十分に浸水させましょう。

玄米が炊き上がったら10〜15分ほど蒸らして水分を全体になじませます。蒸らし終わりに玄米を釜の底からしゃもじで優しく混ぜると均等に仕上がります。炊きムラのないふっくらとした玄米ごはんに仕上げるには、炊飯器の容量に対して適切な量の玄米を使用することが大切です。

べちゃっとしてしまう

玄米は水分が多すぎたり、炊き方が適切でなかったりすると、べちゃっとしてしまうことがあります。玄米がべちゃっとしてしまう原因と対策は以下のとおりです。

原因対策
水の量が多すぎる水っぽい場合は次回から大さじ1杯ほど減らす
浸水時間が長すぎる浸水は目安時間を守り、長時間水につけすぎない
蒸らしが足りない炊き上がったら10〜15分しっかり蒸らす
炊飯後にほぐしていない蒸らし後は底から優しく混ぜて余分な水分を飛ばす
白米モードで炊いている炊飯器に玄米モードがある場合は必ず使用する

玄米を使ったアレンジレシピ

玄米は炊いてそのまま食べるだけでなく、さまざまな料理にアレンジすることが可能です。少し工夫するだけで飽きずに毎日玄米を楽しめます。忙しい日でも簡単に作れる以下の玄米を使ったアレンジレシピを紹介します。

  • 玄米おにぎり
  • 玄米サラダ
  • 玄米リゾット

玄米おにぎり

栄養豊富で腹持ちの良い玄米はおにぎりにすると手軽かつ健康的に食べられます。玄米おにぎりは忙しい日の食事や小腹が空いたときの軽食にも適しています。

玄米おにぎり2~3個分の材料は以下のとおりです。

  • 炊いた玄米:1合分
  • 塩:少々
  • 好みの具材:梅干し・おかか・塩昆布・ごま・大葉・枝豆・ひじき・じゃこ など

玄米おにぎりの作り方は以下のとおりです。

  1. 炊きたての温かい玄米を用意する
  2. 手に水と塩をつけ、適量の玄米を手のひらにのせる
  3. 好みの具材を中心に入れ、軽く握って形を整える

醤油を塗って香ばしく焼いた「焼きおにぎり」も、玄米の食感と相性が良いためおすすめです。1つずつラップで包んで冷凍保存しておくといつでも手軽に玄米おにぎりを食べられます。

玄米サラダ

炊き置きの玄米を使えば手軽に栄養満点の玄米サラダが作れます。玄米特有のプチプチとした食感がアクセントになり、食べ応えも十分です。玄米サラダは冷蔵庫にある野菜やタンパク質を玄米と合わせるだけで、すぐに完成します。

玄米サラダ2人分の材料は以下のとおりです。

  • 炊いた玄米:1合分
  • 好みの野菜:きゅうり・パプリカ・アボカド など
  • タンパク質源:蒸し鶏・ツナ・ミックスビーンズ など
  • 調味料:オリーブオイル・レモン汁・塩・こしょう

玄米サラダの作り方は以下のとおりです。

  1. 炊き置きの玄米を粗熱を取ってボウルに入れる
  2. 野菜とタンパク質を一口大に切り、玄米と合わせる
  3. オリーブオイルとレモン汁、塩・こしょうで味を調える
  4. 軽く混ぜ合わせて器に盛る

作り置きもできるため、玄米サラダは忙しい日のランチや夕食の一品としてもおすすめです。

玄米リゾット

玄米リゾットは残り物の玄米をおしゃれでおいしい一品に変えられる便利なレシピです。炊いた玄米を使うため生米から作るより短時間で調理でき、フライパン1つで手軽に作れます。

玄米リゾット2人分の材料は以下のとおりです。

  • 炊いた玄米:茶碗2杯分
  • 牛乳または豆乳:200ml
  • 好みの具材:きのこや季節の野菜 など
  • チーズ:適量
  • 調味料:塩・こしょう

玄米リゾットの作り方は以下のとおりです。

  1. フライパンに牛乳または豆乳を入れて温める
  2. 玄米を加えて軽く煮込み、好みの具材を加える
  3. とろみが出てきたらチーズを加えて溶かす
  4. 塩・こしょうで味を調え、器に盛る

玄米リゾットは気分に合わせてトマトソースやクリーム、カレー風味などさまざまな味付けにアレンジできます。残り物の冷やごはんや冷凍した玄米を有効活用でき、加える具材によって栄養バランスを整えられる点も玄米リゾットの魅力です。

玄米の炊き方に関するよくある質問

玄米は白米と比べて炊き方や性質が異なるため、さまざまな疑問が生じやすい食材です。玄米の炊き方に関する以下の質問について解説します。

  • 玄米の浸水時間を短縮する方法は?
  • 玄米と白米を混ぜて炊く場合の注意点は?
  • 玄米は体に悪い?

玄米の浸水時間を短縮する方法は?

玄米は表面が硬い層で覆われているため、白米よりも水を吸収するまでに時間がかかります。水の浸透を助ける方法を取り入れることで、玄米の浸水時間を短くできます。

玄米の浸水時間を短縮する方法は以下のとおりです。

  • 浸水には40〜50℃のぬるま湯を使う
  • 水に塩をひとつまみ加える
  • 玄米をもみ洗いして表面に細かい傷をつける
  • 炊飯器の「玄米高速モード」を活用する
  • 玄米を圧力鍋で炊く
  • 「ロウカット玄米」や「発芽玄米」など浸水時間が短い製品を選ぶ

浸水時間を短縮する炊き方を実践することで、時間がない日でも無理なくおいしい玄米ごはんを炊けます。

玄米と白米を混ぜた炊き方の注意点は?

玄米と白米を一緒に炊くときは吸水時間の違いに注意が必要です。玄米に合わせて浸水すると白米が水を吸いすぎてべちゃっとし、白米に合わせると玄米の芯が残る原因になります。玄米と白米を混ぜた炊き方の注意点は以下のとおりです。

  • 玄米は6時間以上、白米は30分と別々に浸水する
  • 水加減は炊飯器の白米の目盛りに合わせ、玄米1合につき大さじ2杯の水を追加する
  • 炊飯器に「玄米モード」があれば使用する
  • 玄米の香りが気になる場合は塩をひとつまみ加えて炊く
  • 白米2:玄米1の割合にすると白米に近い食感になる

玄米と白米の吸水時間や水加減を適切に調整すれば、両方の食感を損なわない炊き方ができます。

玄米は体に悪い?

玄米は正しく調理すれば栄養豊富な健康食です。体に悪いとされる理由の一つに、玄米に含まれるフィチン酸がミネラルの吸収を妨げるという説があります。玄米は食物繊維が豊富なため消化に時間がかかり、胃腸が弱い人には負担になる場合もあります。

玄米を十分に浸水させて炊けば、フィチン酸のミネラル吸収を妨げる作用を大幅に弱めることが可能です。胃腸への負担が気になる場合は玄米を少量から試したり、白米に混ぜて炊いたりして、よく噛んで食べると安心です。体調と相談しながら無理のない範囲で玄米を取り入れ、日々の健康維持に役立てましょう。
»【栄養素別・悩み別】体に良い食べ物と摂取方法を解説!

玄米の炊き方をマスターして毎日の食事を楽しもう

玄米は食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、健康的な食生活に役立ちます。基本的な炊き方を身に付ければ誰でも簡単においしく調理することが可能です。

週末にまとめて玄米を炊いて冷凍保存しておけば平日の時短にもつながります。最初は白米に少し混ぜるなど、無理のない方法から玄米を取り入れることがおすすめです。玄米を食卓に取り入れて健康的な毎日を目指しましょう。