
多くの人が、食材を無駄にせず少しでも家計を節約したいと考えています。しかし、買った野菜を使い切れず、痛ませてしまうケースもよくあります。中でも便利な冷凍保存は、野菜の種類によって適した方法が異なるため、正しいやり方がわからないのが現状です。
この記事では、野菜の種類ごとに最適な冷凍保存の方法を解説します。最後まで読めば、野菜を長持ちさせるポイントがわかり、食費の節約と調理の時短が実現できます。ぜひご家庭の冷凍保存に役立ててください。
野菜の冷凍保存に関する基礎知識

野菜を冷凍保存する際に押さえておきたい基礎知識は、以下のとおりです。
- 適切な冷凍保存温度
- 冷凍保存のための準備
適切な冷凍保存温度
野菜を適切に冷凍保存するには、正しい温度管理が重要です。冷凍保存の効果を最大限に引き出すポイントは、以下のとおりです。
- 家庭用冷凍庫は-18℃以下に設定する
- 長期保存する場合は-20℃以下に設定する
- 葉物野菜は-20℃前後で保存する
- 温度変化を避けて一定に保つ
適切な温度を維持することで、野菜の栄養素や風味を長期間保てます。冷凍庫内の温度を一定にするには、ドアの開閉を最小限に抑えることが重要です。頻繁に開け閉めすると庫内温度が上昇し、野菜の品質低下を招く原因になります。冷凍庫に食品を詰め込みすぎると空気の循環が妨げられ、温度ムラが発生する恐れがあります。
保存量は適度に保ち、冷凍庫内全体が均一に冷える状態を維持しましょう。急速冷凍(-30℃以下)を活用すると、野菜の細胞が壊れにくく、解凍後も食感や栄養価を保ちやすくなります。温度管理のためには、冷凍庫用の温度計を設置し、定期的なチェックがおすすめです。
夏場、冷凍庫内に多くの食品を入れる際は、設定温度が適切に保たれているかを確認してください。停電時には庫内温度の上昇を防ぐため、できるだけドアの開閉を控えることが大切です。
冷凍保存のための準備
野菜を冷凍保存する前には、適切な下処理が欠かせません。正しく準備することで、解凍後もおいしく野菜を食べられます。野菜はよく洗ってしっかり水気を切りましょう。水分を取り除くことで冷凍時に氷の結晶ができるのを防ぎ、野菜の品質を保てます。
根菜類は皮をむいてカットし、葉物野菜は茎と葉を分けるなど、用途に合わせて使いやすい大きさに整えると便利です。葉物野菜には「ブランチング」が適しています。30秒~1分ほどさっと茹でた後、すぐに冷水に取り急冷し、水気をキッチンペーパーでしっかり拭き取ります。
ブランチングを行うことで、葉物野菜の色味や風味を保ち、栄養素の流出も抑えることが可能です。冷凍保存の際は、野菜が空気に触れると風味が劣化しやすいため、密閉容器やフリーザーバッグの使用がおすすめです。1回分ずつに小分けし、できるだけ薄く平らにして保存すると、解凍もスムーズになります。
保存容器には日付と内容をラベルで記載し、古い野菜から順に使うことで食材の無駄を防げます。
冷凍できる野菜【根菜類】

冷凍できる根菜野菜は、主に以下のとおりです。
- 大根
- にんじん
- じゃがいも
- ごぼう
大根
大根は冷凍保存に適した根菜で、適切な下処理をすれば、長期間おいしく保存できます。冷凍する際は、皮をむき、用途に合わせてカットするのが基本です。大根は生のまま冷凍すると風味や食感が落ちやすいため、煮物やおでんなどに使う場合は下茹でしてから冷凍するのがおすすめです。ただし、味噌汁や炒め物、すりおろし大根などは、生のままカットして冷凍するだけでも十分使えます。すりおろした大根も冷凍可能ですが、水分が出やすいため、解凍後は加熱調理に使うとよいでしょう。
煮物用には輪切りやいちょう切り、味噌汁用には小さめの角切りにすると、調理がしやすく便利です。大根おろし用に冷凍保存したい場合は、すりおろして小分けにします。サラダ用の大根は、千切りにした後、水にさらして水気を切ってから冷凍します。
冷凍した大根は約1か月ほど保存できます。解凍後の大根は水分が出やすくなるため、使用前にしっかり水気を切ることがポイントです。葉付きの大根を購入した場合は、葉と根を分けて冷凍しましょう。大根の葉は栄養価が高いため、茹でてから冷凍保存すると無駄なく活用できます。

一人暮らしや少人数の家庭では、大根を1本まるごと買うのをためらってしまいますよね。これまでは割高でも半分にカットされたものを選んでいましたが、冷凍保存の方法を知ってからは、1本まとめて購入できるようになりました。調理時間も短縮でき、味もしみ込みやすくて、とても便利です。
にんじん

にんじんは冷凍保存に適した野菜の一つで、栄養価を損なわずに長期保存できます。冷凍したにんじんを上手に活用するには、適切な下準備が欠かせません。皮をむいた後、以下の用途に合わせてカットするのがおすすめです。
- 煮物やスープ:一口大
- 炒め物やカレー:薄切り
- サラダや和え物:千切り
- ハンバーグや餃子の具材:みじん切り
調理時間を短縮したい場合は、冷凍前に1〜2分ほど下茹でします。にんじんは生のまま冷凍することも可能ですが、できるだけ加熱調理が必要な料理に使いましょう。冷凍したにんじんの保存期間の目安は約1か月です。冷凍したにんじんを使うときは、解凍しないまま調理に加えられます。
ただし、にんじんは冷凍すると水っぽくなるため、炒め物に使用する際は最初に油でしっかり炒めるのがポイントです。
じゃがいも
じゃがいもは冷凍保存が可能ですが、品質を保つためには正しい下処理が欠かせません。下処理が不十分なまま冷凍すると、黒く変色する恐れがあります。保存前には、じゃがいもの皮をむき、一口大にカットしたうえで加熱処理を行いましょう。加熱方法には、約5分間茹でるか、約10分間蒸す方法があります。
手軽に済ませたい場合は、500Wの電子レンジで約3分じゃがいもを加熱するのも有効です。加熱後は粗熱を取ってから保存袋に入れましょう。じゃがいもは、小分けにラップで包んでからジップロックに入れると、必要な分だけ取り出せて便利です。冷凍したじゃがいもの保存期間は、約1か月が目安となります。
じゃがいもはデンプン質が多く、冷凍や解凍によって食感が大きく変わる野菜です。冷凍したじゃがいもを解凍すると水っぽくなる傾向にあるため、カレーやシチュー、スープなどの煮込み料理に適しています。解凍後の食感の変化を抑えたい場合は、マッシュポテトにしてから冷凍するのがおすすめです。
ただ、ふと思い出すのがフライドポテト。冷凍食品として一般的ですが、あのカリッとした食感はどうやって実現しているのでしょうか?市販の冷凍フライドポテトは、あらかじめ下処理(ブランチング=軽く茹でる)や揚げ処理がされており、冷凍してもおいしく仕上がるよう工夫されています。
ごぼう

ごぼうは冷凍保存に適した根菜で、適切な下処理を行えば、風味や食感を保ったまま長期間保存できます。ごぼうの冷凍前の下処理は、以下の手順で行いましょう。
- 泥を落として皮をこそぎ落とす
- 水にさらしてアク抜きをする
- 用途に合わせてカットする
- 下茹でか生のまま冷凍する
炒め物やきんぴら、汁物に使う場合は、生のまま冷凍で大丈夫。煮物や炊き込みご飯などで柔らかく仕上げたいときは下茹でをしてから冷凍しましょう。
冷凍したごぼうの保存期間は約1か月です。ごぼうは解凍しなくても調理でき、きんぴらごぼうや煮物、みそ汁などさまざまな料理に活用できます。
冷凍できる野菜【葉物】

冷凍できる葉物野菜は、以下のとおりです。
- ほうれん草
- 小松菜
- キャベツ
- 白菜
ほうれん草
ほうれん草は栄養価を保ちながら長期保存ができ、冷凍保存に最適な葉物野菜です。ほうれん草を冷凍保存する際は、茹でてから冷凍するのがポイントです。生のまま冷凍すると風味が大きく損なわれます。ほうれん草を冷凍保存する手順は、以下のとおりです。
- 根元を切り落とし洗浄する
- 塩を入れた熱湯で30秒〜1分ほど茹でる
- アク抜きのため冷水にさらす
- 水気をしっかり絞る
- 1回分の量に分ける
- 平らに広げて密閉する
冷凍したほうれん草の保存期間は約1か月です。ほうれん草を冷凍すると栄養価も比較的保持されるため、ダイエット中の方や食事制限がある方にもおすすめです。冷凍したほうれん草は、解凍しなくても味噌汁やスープに入れたり、炒め物やパスタに加えたりできます。
小松菜

小松菜は冷凍保存に適した葉物野菜です。適切に下処理すれば、栄養価を保ったまま約1か月間保存できます。小松菜は鮮度が落ちやすい野菜ですが、冷凍すると計画的に使い切れます。小松菜を下処理する際は、茎と葉を分けて食べやすい大きさにカットしましょう。
小松菜は30秒〜1分ほど茹でてから冷水に取ることで、鮮やかな色と解凍後の食感を保てます。水気をしっかり絞ってから保存袋に小分けして冷凍すると、必要な分だけ取り出せて便利です。冷凍した小松菜は、おひたしや和え物、炒め物など、さまざまな料理に活用できます。

冷凍した青菜をおひたしなどの冷たい料理に使うときは、電子レンジで加熱解凍し、やけどに注意しながら熱いうちに水気をしっかり絞ります。その後、冷蔵庫で冷ましてから調味料で和えると、食感も色合いも良く仕上がります。
冷凍のまま使用すると、解凍時に水分が多く出てしまい、味がぼやける原因になります。
キャベツ
キャベツは冷凍保存に最適な葉物野菜です。しっかりと冷凍保存することで、長期間鮮度を保ちながらさまざまな料理に活用できます。キャベツを冷凍保存する手順は以下のとおりです。
- 洗って水気を切る
- 使いやすい大きさにカットする
- 密閉容器に入れる
- 空気を抜いて密閉する
冷凍したキャベツは約1か月程度保存できます。解凍しなくても調理に使えるため、炒め物やスープ、お好み焼きなど火を通す料理に向いています。キャベツは冷凍することでかさが減るため、冷凍庫内のスペースを有効に使えるのも大きなメリットです。栄養素の損失を最小限に抑えるために、新鮮なうちに冷凍しましょう。解凍するとしんなり&水っぽくなるので、生サラダやコールスローには不向きです
白菜

白菜は冷凍保存に最適な葉物野菜で、適切に処理すれば約1か月間保存できます。白菜は鍋物やスープの具材として重宝するため、まとめて冷凍すると便利です。白菜を下処理する際は、芯と外葉を取り除いた後、食べやすい大きさにカットします。軽く下茹でして冷水にさらし、しっかりと水気を切ってから冷凍するのが基本です。
冷凍した白菜は、解凍しなくても調理に使えます。
冷凍できる野菜【果菜類】

冷凍できる果菜類の野菜は、以下のとおりです。
- トマト
- ピーマン
- なす
トマト
トマトは水分が多い野菜ですが、適切に冷凍すれば長期保存が可能です。冷凍したトマトは生食には向きませんが、煮込み料理やソース作りに最適です。冷凍する前に簡単な下処理をすると、後の調理が楽になります。
沸騰したお湯に30秒ほどトマトを入れ、すぐに氷水に取る「湯むき処理」をすることで、皮がむきやすくなります。トマトを丸ごと冷凍する場合はヘタを取り、洗って水気をしっかり拭き取ってから冷凍袋に入れましょう。トマトをカットして冷凍する場合は一口大に切り、ラップで包むか冷凍用の保存袋に入れます。
冷凍したトマトは解凍せずに、調理に使うのがおすすめです。解凍すると水分が出てしまい、水っぽくなることがあります。冷凍した場合でも、トマトに含まれるリコピンなどの栄養価はあまり変わりません。
ピーマン

ピーマンは冷凍保存に適した野菜です。冷凍することで苦みが軽減されるため、ピーマンが苦手な方でも食べやすくなります。ピーマンを冷凍保存する手順は、以下のとおりです。
- ヘタと種を取り除く
- 水気をしっかり拭き取る
- 必要に応じてカットする
- フリーザーバッグに入れて冷凍する
あらかじめピーマンを細切りや角切りにカットすると、調理時に便利です。冷凍前に軽く塩もみをするとうま味が増し、解凍時の水っぽさを防げます。冷凍するとピーマンの味は濃くなるため、少量でも満足感が得られます。冷凍したピーマンの保存期間は約1か月が目安です。冷凍したピーマンは解凍せずに調理できます。
なす
なすは冷凍保存に適した野菜の一つです。ただし水分が多いため、品質を保つには適切な下処理が欠かせません。冷凍する前に輪切りや一口大にカットし、素焼きしてから保存すると、なすの風味をしっかりと保てます。塩もみをして余分な水分を抜くことで、解凍後の食感が損なわれにくくなります。
冷凍したなすは解凍せず使えるため、味噌汁やカレー、煮物などの煮込み料理に最適です。冷凍したなすは約1か月ほど保存できます。
冷凍できる野菜【その他】

冷凍できる野菜には、以下も含まれます。
- にんにく
- しょうが
- ねぎ
にんにく
にんにくは冷凍保存に適した野菜で、正しく保存すれば風味や栄養価を長期間維持できます。にんにくの主な冷凍保存の方法は以下のとおりです。
- 皮をむいた状態で冷凍する
- みじん切りにして冷凍保存袋に入れる
- ペースト状にして製氷皿で冷凍する
- 生の状態で冷凍する
冷凍したにんにくは、辛みが和らいだり皮むきが簡単になったりする特徴があります。冷凍前に水分をしっかり拭き取ることで、カビを防止できます。にんにくの臭い移りを防ぎたい場合は、密閉容器での保存がおすすめです。冷凍したにんにくの保存期間は、約1か月が目安です。
冷凍したにんにくは、解凍せずに料理に加えられるため、調理の手間を省けます。より豊かな風味を楽しみたい場合は、冷凍前に軽く炒めてから保存するのもおすすめです。
しょうが

しょうがは冷凍保存に最適な食材の一つです。しょうがを冷凍すると、風味や栄養素を長期間保ちながら、必要なときにすぐ使えて便利です。生のしょうがを冷凍する際は、皮をむいてから薄切りやみじん切りにしておくと、調理時に使いやすくなります。冷凍前には水気をしっかり拭き取ることで、品質の劣化を防げます。
しょうがの保存には、製氷皿で小分けにしたり、小袋に分けたりする方法がおすすめです。冷凍したしょうがは解凍せず料理に加えられます。薬味として使う際は、凍ったままおろし金ですりおろすとスムーズに使えます。冷凍したしょうがの保存期間は約1〜3か月が目安です。
長期保存する場合は、冷凍焼けを防ぐためにアルミホイルや冷凍用保存袋でしっかり包みましょう。
ねぎ
ねぎは冷凍保存に適した野菜の一つで、調理の手間を省けるうえに、辛みが和らぐメリットがあります。白髪ねぎとして使う場合は、小口切りや斜め切りにして冷凍するのがおすすめです。冷凍前にしっかりと水分を拭き取り、小分けにして保存袋に入れておくと、使いたい分だけ取り出せて便利です。
長ねぎは、白い部分と青い部分を分けて冷凍すると、それぞれの用途に応じて使いやすくなります。冷凍したねぎは、凍ったままでも料理に使えて手軽です。ただし、冷凍により細胞が壊れるため、シャキシャキとした食感はやや失われます。冷凍したねぎの保存期間は約1か月です。

長ねぎの緑の部分は、小口切りにして冷凍しておくと、青みを足したいときに重宝します。固い部分も、ラーメン店で香味野菜として使われるように、香りやコクを引き出す力があり、スープや炒め物、だし取りにぴったり。家庭でも捨てずに冷凍保存し、賢く活用したい優秀食材です!
まとめ

冷凍した野菜は、忙しい毎日の食生活を支えてくれる心強い存在です。家庭用の冷凍庫は-18℃以下に設定することで、野菜の鮮度や栄養価を長く保てます。冷凍保存を効果的に行うためには、それぞれの野菜に適した下処理が欠かせません。
種類ごとに適切な下処理を行い、小分けにして保存することで、食品ロスを防ぎながら調理の時短にもつながります。多くの冷凍野菜は、解凍しなくても料理に使える点も便利です。保存時には、密閉できる容器や保存袋を使用し、日付を記載すると管理がしやすくなります。
野菜の冷凍保存を日常に取り入れることで、無駄のない効率的な食生活が実現できます。
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