
- 毎日忙しくて、食事の準備に時間をかけられない
- 家族や自分の健康を考えると、食材の安全性は気になる
- 体に良いお米を選びたいけど、種類が多くて迷ってしまう
家族や自分の健康のために、どんな基準でお米を選べば良いかわからず悩んでいませんか?この記事では「特別栽培米」について、定義や選び方、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。記事を読めば特別栽培米がどんなお米か理解でき、自信を持って選べるようになります。
特別栽培米は農薬と化学肥料(※1)を一般的な栽培の半分以下に抑えた、健康に配慮されたお米です。特別栽培米について正しく理解し、健康と環境に配慮した食生活を始めましょう。
※1 化学肥料とは、窒素やリン酸、カリウムといった植物の成長に必要な栄養素を化学的に合成して作られた肥料のことです。安価で効果が早く現れる一方で、土壌環境への悪影響が懸念されています。
特別栽培米とは農薬と化学肥料を通常の半分以下で育てたお米

特別栽培米は、農薬や化学肥料の使用を最小限に抑えて栽培されたお米です。特別栽培米について以下の解説をします。
- 特別栽培米の定義と基準
- 特別栽培米を名乗るための地域ごとの認証制度
特別栽培米の定義と基準
特別栽培米は、国が定めたガイドライン(特別栽培農産物に係る表示ガイドライン)に従って作られています。特別栽培米は、お米を育てる期間中に使う農薬の回数と、化学肥料の量を普段使われている量の半分未満にしなければいけません。
お米の袋には、生産者や管理責任者、栽培方法に関する情報を表示する必要があります。
特別栽培米を名乗るための地域ごとの認証制度
特別栽培米を名乗るには、国が定めたガイドラインに加えて、各地域が独自に設けている認証制度にも適合する必要があります。各地域の認証制度は、気候や土壌の違いに応じて、より安全で質の高いお米を作るために設けられています。
地域独自の認証制度は、国の基準より厳しいルールが設けられており、農薬や化学肥料の使用量も限られていることがほとんどです。地域独自の認証制度では、お米の栽培記録の提出も求められることがあります。
特別栽培米の認証を受けるためには、書類での申請や審査だけでなく、栽培環境の現地調査も行われます。各地域の認証制度については、都道府県の農業を担当する部署やJAなどに問い合わせましょう。
特別栽培米と他の栽培方法の違い

特別栽培米と他の栽培方法で使用する、農薬や肥料の違いについて以下の内容を解説します。
- 特別栽培米と通常の栽培方法の違い
- 特別栽培米と無農薬米・減農薬米の違い
- 特別栽培米と有機栽培米の違い
特別栽培米と通常の栽培方法の違い
特別栽培米は農薬使用回数と化学肥料の量を、各地域の慣行栽培(※2)の半分以下に抑えて栽培されます。特別栽培米は作る際に農薬や化学肥料を減らす分、雑草の管理や害虫対策に多くの手間がかかります。栽培には手間がかかりますが、特別栽培米は環境に優しく、残留農薬や化学肥料の不安を軽減できる点が特徴です。
特に小さなお子さまのいる家庭や日々の食事に安心・安全を求める方には特別栽培米が選ばれています。生産者によっては栽培履歴を開示している場合もあり、特別栽培米は信頼性の高いお米として注目されています。
※2 慣行栽培とは、一般的に広く行われている、化学肥料や農薬を使用する栽培方法です。
特別栽培米と無農薬米・減農薬米の違い

無農薬米はお米を育てる期間中、農薬をまったく使わずに栽培されたお米のことです。化学肥料の使用については決まりがないため、無農薬米でも化学肥料が使われていることがあります。無農薬米には「栽培期間中農薬不使用」といった表示がされているので確認してみてください。
減農薬米は、農薬を使う回数や量を普段の作り方よりも減らして栽培されたお米です。農薬の削減量や化学肥料を使っているかどうかは、お米の生産者や地域によって異なります。
無農薬米や減農薬米は特別栽培米と異なり、ガイドラインが明確でない場合があります。お米を選ぶ際は、表示をよく見てそれぞれの違いを理解するようにしましょう。
» 農薬のリスクとは?人体への影響と安全に減らす方法
特別栽培米と有機栽培米の違い
特別栽培米と有機栽培米は、どちらも農薬や化学肥料の使用を抑えて育てられたお米ですが、基準や認証制度などの違いがあります。特別栽培米と有機栽培米の違いは以下のとおりです。
比較項目 | 特別栽培米 | 有機栽培米(有機JAS米) |
農薬・化学肥料 | 一般的な基準の半分以下に削減 | 原則として使用不可 |
認証制度 | 農林水産省のガイドラインに基づく表示あり(統一認証マークなし) | 有機JAS認証が必要(認証マークあり) |
土壌条件 | 規定なし | 種まきまたは定植の2年以上前から農薬・化学肥料を使用していない土壌が必要 |
遺伝子組換え | 規定なし | 使用禁止 |
有機栽培米は特別栽培米に比べて基準が厳しく、生産にはハードルがあります。
特別栽培米のメリット

特別栽培米のメリットは以下のとおりです。
- 安心・安全にお米が食べられる
- 信頼できる認証制度がある
- 環境に配慮した選択ができる
特別栽培米を選ぶ日々の小さな選択が、健康的な生活や将来の環境保全につながります。
安心・安全にお米が食べられる
特別栽培米を選ぶ最大のメリットは安心して食べられることです。農薬や化学肥料の使用量が一般的な栽培方法の半分以下に抑えられており、体に入る化学物質の量を減らせます。
生産者や使用資材、確認者などの情報が表示されるため、どのようなお米なのかわかるのも安心材料の一つです。特別栽培米は子どもや健康に配慮したい家庭にとって、安全な選択肢です。
信頼できる認証制度がある

特別栽培米には、消費者が安心して選べるように整備された認証制度があります。認証制度は国のルールにもとづき各都道府県などの認証機関が運用しているため、高い信頼性があります。認証を受けるには、農薬・化学肥料の削減量や栽培方法などの条件を満たさなければいけません。
生産者は事前に栽培計画を提出し、栽培中の記録も保管する必要があります。認証を受けたお米には「特別栽培農産物」という文字や専用のマークが表示されるため、安心して特別栽培米を選べます。
環境に配慮した選択ができる
特別栽培米を選ぶことは、地球環境を守る行動につながります。特別栽培米はお米を育てる際に使う農薬や化学肥料を少なくしているため、自然への負担が少ないことが特徴です。特別栽培米が環境に優しい理由は、以下のとおりです。
- 土や川、地下水などを汚しにくいので、きれいな水資源を守れる
- 田んぼや周りに住む生き物が住みやすい環境を守れる
- 化学肥料運搬時の排気ガスの量を減らせる
特別栽培米は体に優しいだけでなく、環境にも配慮した選択です。
特別栽培米のデメリット

特別栽培米のデメリットは、以下のとおりです。
- 価格が高くなる傾向がある
- 見た目で良さがわかりにくい
価格が高くなる傾向がある
特別栽培米は収穫できるお米の量が限られるため、一般的なお米に比べて価格が高くなる傾向があります。農薬や化学肥料の使用を抑えてお米を育てるためには、生産者による作業が増えます。農薬や化学肥料を減らす分、雑草を除去したり、病気や虫からお米を手間や費用をかけて守ったりする必要があるためです。
認証を受けるための費用が価格に反映されていることも、特別栽培米の価格が高くなる原因の一つです。特別栽培米は、食への安心や環境に配慮して作られているといった「お米そのもの以外の価値」が価格に反映されます。
見た目で良さがわかりにくい
特別栽培米は、お米そのものの外見や食べたときの食感の違いを感じにくく、見た目で良さがわかりにくいことが特徴です。特別栽培米の良さがわかりにくい理由は、以下のとおりです。
- 健康への影響がすぐに体感できない
- 農薬や化学肥料の安全性が目で見て確認できない
- 環境負荷の低減効果が直接的な見た目で確認できない
特別栽培米を見た目で判断するのは難しいので、購入する際は認証マークを確認しましょう。
特別栽培米の選び方

特別栽培米の選び方は、以下のとおりです。
- 表示ラベルを確認する
- 信頼できる販売店で購入する
信頼できる販売店を選ぶことで、安心して良質な特別栽培米を手に入れられます。
表示ラベルを確認する
特別栽培米を選ぶときは、パッケージに記載された表示ラベルを確認しましょう。表示ラベルで確認すべき項目と内容は、以下のとおりです。
確認項目 | 確認内容 |
ガイドライン準拠表示 | 「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」もとづく表示か |
節減対象農薬の使用状況 | 地域の慣行レベルに比べてどの程度農薬使用を減らしているか |
化学肥料の使用状況 | 化学肥料(窒素)の使用量がどの程度節減されているか |
栽培責任者・確認責任者 | 誰が育て、誰が確認したのか(生産者・第三者機関) |
栽培管理情報 | 栽培方法や管理の概要 |
収穫都道府県名 | どこの地域で収穫されたか |
認証機関(該当時) | 認証が行われていれば、認証機関の名称 |
表示ラベルの情報をチェックすることで、信頼できる特別栽培米を見分けられます。
信頼できる販売店で購入する
特別栽培米を安心して購入するには、信頼できる販売店を選びましょう。信頼できるお店では、お米の品質管理がしっかりしており、生産情報も丁寧に説明されています。オンラインショップで購入する場合は、お店の連絡先や口コミ評価を確認すると安心です。
農家さんが直接売っているお店や昔からお米を専門に取り扱っているお店、地域の農産物を売っているお店は信頼できます。
特別栽培米を選ぶとできること

特別栽培米を選ぶとできることは、以下のとおりです。
- 自分と家族の健康を守る
- 持続可能な農薬を応援する
特別栽培米を選ぶ日々の小さな選択が、健康的な生活や将来の環境保全につながります。
自分と家族の健康を守る
特別栽培米を選ぶことは、自分と家族の健康を守ることにつながります。特別栽培米は体に取り入れる化学物質を慣行栽培のお米よりも抑えられます。残留農薬の心配が少ないので、お子さんや健康を気にする家族にも安心です。
主食のお米を特別栽培米にすることで、日々の食事に対する信頼感や満足感が向上し、健康的な生活にもつながります。
持続可能な農業を応援する
特別栽培米を選ぶことは、自然に優しい農業の応援につながります。農薬や化学肥料を少なくして栽培することで、きれいな土壌を保ち、周りの生き物にもやさしい環境の維持が可能です。農薬の使用を減らすことで、農業従事者の健康や作業環境への負担軽減にもつながります。
特別栽培米を選ぶことで、持続可能な農業の発展と次世代の豊かな食環境の維持に貢献できます。
特別栽培米に関するよくある質問

特別栽培米に関するよくある質問をまとめました。特別栽培米を検討している方は参考にしてください。
- 特別栽培米の炊き方や保存方法にコツはある?
- 特別栽培米はどこで買える?
- 外食でも特別栽培米は選べる?
特別栽培米の炊き方や保存方法にコツはある?
特別栽培米を美味しく楽しむには、炊き方にコツがあります。お米は力を入れずに優しく研ぎ、最初の水はすぐに捨てましょう。浸水時間は夏は30分~1時間、冬は1~2時間が目安です。水加減は炊飯器の目盛りを参考にし、新米はやや少なめ、古米は多めに調整してください。
炊き上がったらすぐに底から全体をふんわり混ぜることで、ふっくらした食感になります。
お米の風味を長持ちさせる保存方法にも、覚えておきたいコツがあります。特別栽培米の保存方法を表にまとめました。
項目 | 内容 |
生米の保存場所 | 高温多湿・直射日光を避け、風通しの良い冷暗所で保管する 密閉容器や米びつを使用する |
冷蔵保存の活用 | 暑い時期や長期保存には冷蔵庫の野菜室で保管する |
消費の目安 | 精米後は1か月以内に食べ切ることが理想的 |
炊飯後の保存方法 | 温かいうちにラップで一食分ずつ包み、粗熱を取って冷凍する 食べる時は電子レンジで温める |
簡単なコツを実践することで、特別栽培米の美味しさを最大限に引き出し、日々の食卓をより豊かなものにできます。
特別栽培米はどこで買える?

特別栽培米は、さまざまな場所で購入できます。特別栽培米が購入できる場所は、以下のとおりです。
- スーパーマーケット
- 米穀専門店
- 農産物直売所
- オンラインストア・産直イベント
- インターネット通販サイト
- 生協(コープ)
- ふるさと納税
健康や食の安全への関心が高まったことで、特別栽培米を扱うお店が増え、入手しやすくなりました。ライフスタイルに合わせて、無理なく特別栽培米を取り入れてみてください。
外食でも特別栽培米は選べる?
近年、健康や食材にこだわるレストランやカフェが増えているため、外食でも特別栽培米を選べるようになってきています。
健康を意識したレストランやオーガニック食材を扱うお店などで、特別栽培米を取り扱っていることがあります。お店のメニューやWebサイトに「特別栽培米使用」と記載されているか、確認してみてください。「特別栽培米使用」と書かれていても、一部のメニューだけの場合があるので、注意が必要です。
わからない場合は、店舗のスタッフに直接聞いて確認しましょう。
» オーガニック食品とは?特徴や魅力も詳しく解説
特別栽培米を選んで健康と環境に優しい暮らしをしよう

特別栽培米は、健康と環境に配慮した生活への第一歩です。健康や環境保全への意識の高まりから、特別栽培米を扱うお店は増えています。スーパーや米穀専門店、農産物直売所などで購入できます。お店に行けない場合は、オンラインストアやECサイトなどでも特別栽培米の購入が可能です。
特別栽培米は、パッケージに表示された認証マークで確認できます。特別栽培米を扱う飲食店も増えているので、外食で特別栽培米を選べるようになってきています。
自分や家族の健康はもちろん、環境にも優しい暮らしをしたい人は、特別栽培米を選んでみてください。