野菜を正しく常温保存する方法!長持ちさせる5つのコツと2つのメリット

野菜を正しく常温保存する方法!長持ちさせる5つのコツと2つのメリット
  • 冷蔵庫が野菜でいっぱいになってしまう
  • 野菜を買いすぎて腐らせてしまう
  • 野菜の正しい保存方法が知りたい

食費を節約しながら健康的な食生活を送るには、野菜の適切な保存方法を知る必要があります。実は、野菜の多くは冷蔵庫に入れなくても常温での保存が可能です。この記事では、野菜を常温保存するメリットや常温保存に適した野菜の種類、保存方法を詳しく解説します。

記事を読めば野菜の鮮度を長持ちさせるコツがわかり、食費の節約につながります。野菜を常温保存するうえで重要なのは、それぞれの野菜に合った保存環境を作ることです。

野菜を常温保存するメリット

野菜を常温保存するメリットは本来の風味を保てる点と、電気代を節約できる点です。

野菜本来の風味を保てる

野菜の多くは冷蔵庫に入れることで、本来の香りや甘みが損なわれてしまいます。野菜本来の風味や味わいを楽しむには、常温での保存がおすすめです。トマトは冷蔵保存すると風味が大きく低下するため、常温で保存すると本来の豊かな香りと甘みを味わえます。

じゃがいもは冷蔵庫に入れると糖化が進んで風味が損なわれるため、常温での保存が最適です。玉ねぎは風通しの良い場所で保存すれば、辛味や栄養素を保てます。
» 野菜不足が及ぼす健康への影響と解消方法を解説!

電気代を節約できる

野菜を常温保存すれば冷蔵庫の負荷が減り、消費電力を抑えられます。一般的な冷蔵庫の年間の電気代は、10,000〜15,000円です。しかし、野菜を適切に常温保存することで冷蔵庫の電気代を約5〜10%節約できます。

野菜を常温保存することによって冷蔵庫の開閉回数が減ることも、電気代を節約できるポイントです。省エネの冷蔵庫と組み合わせれば、さらなる節約効果も期待できます。

常温保存に適した野菜

常温保存に適した野菜は以下のとおりです。

  • 根菜類(じゃがいも、玉ねぎ、ごぼう)
  • 果菜類(トマト、かぼちゃ、ナス)
  • その他の野菜(さつまいも、きゅうり)

根菜類(じゃがいも、玉ねぎ、ごぼう)

じゃがいもや玉ねぎ、ごぼうなどは常温保存が最適な根菜類です。温度は10〜15℃、湿度は50〜60%の場所で保存することで、根菜類の鮮度が保たれます。じゃがいもは冷蔵庫に入れると調理時に褐色化しやすくなります。じゃがいもは光に当たると有毒物質のソラニンが発生するため、暗所で常温保存しましょう。

新聞紙で包み、湿気が少ない環境で保存すると、約1か月じゃがいもの鮮度を保てます。玉ねぎは風通しの良い環境で保存することで、辛味や栄養素を維持できます。玉ねぎは湿気に弱いため、乾燥した場所で保存することも重要です。網袋やかごに入れて吊るして保存すると、約2〜3か月玉ねぎの鮮度を保てます。

ごぼうは土付きのまま新聞紙で包み、冷暗所で保存すると鮮度が長持ちします。ごぼうは切ると変色するため、使う直前まで丸ごと保存しておきましょう。根菜類は他の野菜の近くに置くと発芽や腐敗が早まる場合があるため、別々に保存することが理想的です。

果菜類(トマト、かぼちゃ、ナス)

トマトやかぼちゃ、ナスなどの果菜類は常温保存に適した野菜です。傷や痛みがある果菜類は、他の野菜から離して保存してください。果菜類の保存期間は季節によって変わり、夏場は保存期間が短くなるので注意が必要です。トマトは冷蔵庫に入れると風味が落ち、栄養価も低下してしまいます。

完熟したトマトは直射日光を避け、ヘタを下にして風通しの良い場所に置くと5〜7日ほど持ちます。かぼちゃは直射日光を避け、新聞紙で包んで保存しましょう。風通しの良い涼しい場所なら、かぼちゃは1〜3か月程度持ちます。ただし、カットしたかぼちゃは常温保存には向かないので注意してください。

ナスは低温に弱く、冷蔵すると低温障害を起こしやすいですが、常温なら2〜3日保存できます。ナスは水分が多い野菜なので湿度の高い場所は避け、新聞紙に包んで保存しましょう。

その他の野菜(さつまいも、きゅうり)

さつまいもときゅうりは洗わずに保存し、使う直前に洗うことが鮮度を保つコツです。さつまいもは常温で、風通しの良い場所で保管すると甘みが増します。新聞紙で包んで紙袋に入れると、さつまいもは1〜2週間程度の保存が可能です。さつまいもは低温障害を起こしやすいため、冷蔵庫に入れると黒く変色する場合があります。

きゅうりは常温で2〜3日程度の保存が限度です。きゅうりを常温で保存する場合は直射日光を避け、水分蒸発を防ぐために新聞紙で包むことをおすすめします。エチレンガスの影響を受けやすいため、きゅうりは他の野菜と離して保存することがおすすめです。立てて保存すると、きゅうりのシャキシャキとした食感が保てます。

食品における「常温保存」の基本条件

項目理想の条件解説
温度10〜15℃前後野菜や果物にとっての「常温」はこの範囲。夏場の室温(25〜30℃)は高すぎてNG。
湿度50〜60%程度(乾燥気味)湿気が多いとカビや腐敗の原因に。風通しも大切。
直射日光完全に避ける光によって変色や発芽が進みやすくなる。
通気性風通しのよい場所空気がこもると湿気が溜まりやすく、腐りやすい。
清潔さカビ・虫を避けるために清潔を保つホコリや汚れがあると雑菌や虫が寄ってくる。

家庭の「室温」との違いに注意!

時期室温(目安)常温保存に適している?
冬(暖房なし)10〜15℃◎ 適している
春・秋15〜20℃○ やや温かいが許容範囲
25〜35℃✖ 暑すぎてNG(特に野菜)
冬(暖房あり)20〜25℃△ 野菜には少し高温

一般的に言われる「常温保存」とは、実は10〜15℃・湿度50〜60%・風通しの良い暗所を指します。
夏場の室温(25℃以上)や湿気のこもる場所は、もう常温ではなく「劣化を早める環境」になりがちです。
そのような環境の場合は、現代の住宅事情に合わせた保存の工夫が必要です。

常温保存の代わりにどうする?【実践編】

1. 冷蔵庫の野菜室を上手に使う

食材保存方法ポイント
じゃがいも新聞紙や紙袋に包んで、野菜室へ芽が出にくくなるが、甘みが増す(糖化)。炒め物やスープ向き。
玉ねぎ紙袋に入れて、口を開けて野菜室へ湿気がこもらないように注意。重ねずに入れると◎。

2. 冷凍保存で保存期間をのばす

食材冷凍方法使い方
じゃがいも加熱してマッシュまたは薄切りして冷凍シチュー・グラタン・ポタージュに
玉ねぎスライスして小分け冷凍炒め物・味噌汁・カレーにすぐ使える

3. ワインセラーや冷暗所代用の保冷庫を使う

  • ワインセラー(10〜15℃)があれば、まさに常温保存の代わりに最適
  • キッチン下収納に小型の保冷庫電源不要の保冷ボックス+保冷剤を活用してもOK

4. こまめに買って、早めに使い切る

  • 保存に頼らず、必要な分だけを少量ずつ買う習慣
  • スーパーや宅配サービスを「小分け保存庫」として活用

常温保存が不向きな野菜

常温保存が不向きな野菜は以下のとおりです。

  • 葉物野菜(レタス、ホウレンソウ)
  • きのこ類(しめじ、しいたけ)
  • その他の野菜(もやし、枝豆)

葉物野菜(レタス、ホウレンソウ)

レタスやホウレンソウなどの葉物野菜は水分含有量が多く、常温で保存すると数時間から1日程度で変色や萎れが起こります。湿度にも敏感なため、乾燥した環境に葉物野菜を置くと傷みやすくなります。夏場の葉物野菜は、数時間で食べられなくなる場合もあるので注意が必要です。

葉物野菜を購入したら、傷みを防ぐために冷蔵庫の野菜室に入れてください。冷蔵していた葉物野菜を常温で置いておくと、急速に劣化する恐れがあります。
» 冷蔵庫での野菜の保存方法を解説!常温保存が良い野菜も紹介

きのこ類(しめじ、しいたけ)

きのこ類は水分含有量が多く、常温では傷みやすく鮮度が急激に落ちるため、常温保存に向いていません。しめじやしいたけを常温で保存すると細菌増殖リスクが高まり、24時間以内に品質が劣化し始めます。きのこ類を購入したら、できるだけ早く冷蔵庫で保存してください。

きのこ類は密閉容器や紙袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。ただし、乾しいたけは例外的に常温保存が可能です。乾しいたけは乾燥処理されているため、湿気を避けた冷暗所であれば長期保存できます。

その他の野菜(もやし、枝豆)

もやしは水分含有量が多く、常温に置いておくと数時間で品質が劣化します。もやしを常温で放置すると細菌が繁殖しやすくなり、食中毒のリスクも高まります。もやしの鮮度を保つには水気を切り、購入後1時間以内に冷蔵保存しましょう。

枝豆は収穫後すぐに糖分が減少し始める野菜です。さやごと常温に置くと数時間で風味が変化し、枝豆特有の甘みが失われます。茹でた後の枝豆も常温では傷みやすいため、食べきれない場合は冷蔵または冷凍保存してください。
» 冷凍できる野菜一覧!おいしさを保つ秘訣を解説

もやしと枝豆は高温多湿に弱い性質があるため、夏場は特に注意が必要です。食品ロスを防ぐには使う分だけ購入し、なるべく早く調理して食べることをおすすめします。
» 冷蔵庫での野菜の保存方法を解説!常温保存が良い野菜も紹介

常温保存で野菜を長持ちさせるコツ

常温保存で野菜を長持ちさせるコツは以下のとおりです。

  • 野菜を適切に整理する
  • 風通しを良くする
  • 光を遮断する
  • 適切な保存袋や容器を選ぶ
  • 適切な湿度を保つ

野菜を適切に整理する

常温保存する野菜を正しく整理すれば、鮮度を保ちながら無駄なく野菜を使い切れます。常温保存する野菜を適切に整理するコツは以下のとおりです。

  • 野菜どうしを重ねない
  • 種類ごとに分類する
  • 傷んだ野菜は処分する
  • よく使用する野菜を手前にする
  • 大きい野菜を下に配置する

野菜どうしの間隔をあけることで通気性が確保され、蒸れによる傷みを防げます。整理する際は竹かごなど、通気性の良い容器に野菜を入れて常温保存すると効果的です。定期的に野菜の状態をチェックして並べ替えることで、家庭でも鮮度管理がしやすくなります。

風通しを良くする

野菜を常温保存する際に適度な通気性があれば、腐敗を防ぎ鮮度を保てます。風通しを良くするには、野菜を密集して置かないことがポイントです。野菜の周りに空気が通るよう、適度な間隔をあけてください。根菜類は風通しが悪いと芽が出たり腐敗が早まったりするので、常温保存の際は注意が必要です。

プラスチック容器は通気性が悪く、湿気がこもりやすいためカビの原因になります。野菜を常温保存する際は、網袋やかごなどに入れて保存してください。湿気が多い季節には、野菜の保存場所の近くに除湿剤を置くことも効果的です。

保存に良い風通しの良い場所

よく言う「風通しの良い場所」と言われても現代の住宅では意外と少なくて悩みますよね。特に気密性の高い家やマンションだと、昔の土間や縁側のような通気性のある空間はありません。

でも、工夫次第で「比較的風通しの良い場所」を作ることはできます

住宅内で比較的風通しの良い場所の例

場所向いている理由注意点
玄関の近く(下駄箱の外など)外気が近く、比較的涼しく湿気が少ない日が当たらず、通気が確保できる場合のみ
キッチンの床下収納地熱で比較的温度が安定、通気口がある場合は◎湿気がこもらないよう注意。野菜が密にならないように
階段下や廊下の収納気温が安定しやすく、換気扇が近くにあれば通気も閉め切ると湿気がこもるので換気が必要
網戸付きの窓のそば(直射日光が当たらない場所)窓を開ければ風通しがよい温度が上がりすぎないように工夫が必要
ベランダの室外機の影(直射日光を避けて)空気の動きがあるため蒸れにくい雨・虫・動物への対策が必要

風通しが良さそうで実はNGな場所

  • キッチンの流しの下 → 湿気がこもりやすく温度も高い
  • 冷蔵庫の上や裏 → 熱がこもる
  • 洗面所・脱衣所 → 湿気が多く、カビの原因にも

風通しを作るコツ

  • 網目の袋に入れて吊るす or カゴに入れてスノコを敷く
  • 小型のUSBファンやサーキュレーターを使って空気を動かす
  • 引き出しや収納扉を少しだけ開けて空気の流れを作る

光を遮断する

野菜は光が当たると変色したり、栄養価が低下したりします。野菜から光を遮断するには、暗所での保存や遮光性の高い容器を使用することが効果的です。家庭で簡単にできる野菜に対しての光の遮断方法は以下のとおりです。

  • 新聞紙や紙袋を使用する
  • 暗い場所や食器棚で保存する
  • 不透明な保存容器を使用する

光を遮断するだけでなく、適度に換気することも常温保存で野菜を長持ちさせるコツです。ただし、光を完全に遮断すると野菜の変化に気づきにくいため、定期的に野菜の状態を確認することも忘れないでください。

適切な保存袋や容器を選ぶ

常温保存で野菜を長持ちさせるには、通気性が良く湿度管理ができる容器を使用しましょう。常温保存で野菜を長持ちさせるのに最適な保存容器は以下のとおりです。

  • 新聞紙
  • 紙袋
  • 麻袋
  • 布袋
  • 竹かご
  • ザル
  • プラスチック

新聞紙や紙袋は通気性が良く湿度調整ができるため、じゃがいもやごぼうなど根菜類の保存に向いています。麻袋や布袋は通気性に優れ、野菜の呼吸を妨げないため野菜の常温保存に最適です。竹かごやザルは自然の素材でできており、野菜に余計な臭いが移りにくいメリットがあります。

プラスチック容器を使って野菜を常温保存する場合は、通気孔付きのタイプを選びましょう。じゃがいもや玉ねぎなど光に弱い野菜には、遮光性の高い袋や容器を使用すると発芽や変色を防げます。使用する保存容器は定期的な洗浄と乾燥を行い、カビや雑菌の繁殖を防ぐように心がけてください。

適切な湿度を保つ

常温保存で野菜を長持ちさせる適切な湿度は60〜70%です。湿度が高すぎるとカビや腐敗の原因になり、湿度が低すぎる場合は野菜が乾燥して萎びてしまいます。野菜の湿度を保つ方法として、新聞紙やキッチンペーパーで野菜を包むことが一般的です。

新聞紙やキッチンペーパーは湿度を保つだけでなく、野菜の余分な水分を吸収する効果があります。湿気が多い環境では、常温保存している野菜の近くにシリカゲルや炭を置くと湿度調節が可能です。乾燥しやすい冬場は、霧吹きで湿らせた布を野菜の近くに置くと乾燥を防げます。

湿度を保つためにはキッチンのシンク下や冷蔵庫の上など、温度が安定している場所で保存することが野菜を長持ちさせるコツです。最適な湿度は野菜によって異なるため、種類ごとに分けて保存することをおすすめします。

野菜の常温保存に関するよくある質問

野菜の常温保存に関するよくある質問を解説します。野菜の保存方法に悩んでいる方は参考にしてください。

夏場でも常温保存できる野菜はある?

夏場でも常温保存できる野菜はあります。ただし、夏場は高温多湿のため、通常より野菜の劣化が早まることに注意してください。夏場でも常温保存できる主な野菜は以下のとおりです。

  • 玉ねぎ
  • じゃがいも
  • さつまいも
  • かぼちゃ
  • にんにく
  • 生姜

玉ねぎは風通しの良い場所で網袋に入れると1〜2か月保存できます。じゃがいもは光に当てないよう紙袋に入れ、涼しい場所で保存しましょう。さつまいもは風通しの良い冷暗所で保存してください。かぼちゃは丸ごとなら常温で1〜2か月保存可能です。にんにくは湿気の少ない風通しの良い場所で保存すると長持ちします。

生姜は乾燥させないよう新聞紙などで包んで保存することをおすすめします。
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常温保存中に野菜が傷んできたらどうする?

常温保存中に野菜が傷んできたら、すぐに傷んだ部分を取り除いてください。傷んでいる部位が一部であれば、切り落とした残りの野菜を活用できます。傷みが見られた野菜はできるだけ早く使用することをおすすめします。完全に傷んでしまった野菜やカビが生えている場合は、思い切って処分しましょう。

完全に傷んだ野菜を使用すると食中毒などの健康リスクがあります。常温保存している野菜が傷まないようにするために、保存方法を見直すことも大切です。野菜の購入量や保存期間の目安を再確認し、適切な量だけを購入するよう心がけてください。

まとめ

野菜の常温保存は風味を保ちながら電気代も節約できる便利な方法です。常温保存に適している主な野菜として、以下のものが挙げられます。

  • じゃがいも
  • 玉ねぎ
  • トマト
  • かぼちゃ

常温保存で野菜を長持ちさせるコツは、適切な容器に入れて通気性や遮光性の高い場所で保存することです。夏場は高温多湿のため、通常より野菜の劣化が早まることに注意が必要です。現代の家では「常温保存できる場所」はほとんど残っていません。
でも、あきらめる必要はありません。冷蔵・冷凍・こまめな使い切り、そして時にはワインセラーまで、暮らしに合った保存方法を選べば、食材のロスを防ぎながらおいしく使い切ることができます。野菜の正しい保存の方法を実践し、経済的かつ健康的な食生活を送りましょう。
» 野菜の保存方法を種類別に解説!